
高梨です。今回は、昨年の大阪・関西万博で「未来の洗濯機」として展示した水を捨てない洗濯機が、「移動式コインランドリー」になるまでのお話です。
「排水が、驚くほど綺麗ですね」
「洗濯には洗剤が必要だ」そんな当たり前の常識を疑うことから、私たちの挑戦は始まりました。
2013年、私が下した「洗剤を使用しない」という決断。それは単なるエコ活動ではなく、洗濯の概念を根底から覆す、長い旅の幕開けでした。
数年後、東京家政大学と共に「アルカリ電解水」を用いた洗濯実験を開始しました。そこで受けたこの指摘が、私の運命を大きく変えます。
「排水が、驚くほど綺麗ですね」
この言葉を聞いた瞬間、私の頭にあるアイデアが浮かびました。「排水が綺麗なら、捨てずに使い回せるのではないか?」
洗剤を使用しない洗濯機に続く、新たな挑みがはじまりました。

大手家電メーカー、そして大学と共に3年間にわたる死闘

製品化のヒントは、あるフランチャイズ先の社長から聞いた「24時間風呂」の話でした。
お湯を浄化して循環させる風呂ができるなら、洗濯機でも同じことができるはず。ここから、下水道に接続しない「循環型洗濯機」の開発が本格化しました。
2020年、ついに街中のコインランドリーで下水道を使わないシステムの構築に成功。次なる目標は、この技術を「家庭用」に落とし込むことでした。私は大手家電メーカーのシャープの技術者を現場に招き、その可能性を説得。ついに3年に及ぶ共同実験がスタートしました。
しかし、壁は立ちはだかります。
汚れは落ちる。しかし、「使わない期間に水の中で菌が増殖してしまう」という衛生面の課題が浮上したのです。
ここで、北里大学や横浜国際大学の先生方の知見をお借りしました。専門家との試行錯誤の末、ついに実用化レベルまで問題を克服。「水を変えずに洗い続ける」洗濯機が現実のものとなりました。
災害時にどこへでも。ジャッキ付きコンテナの誕生。

「命のコンテナプロジェクト」群馬県モデルの一環として、
水循環型洗濯機の社会実装に向けた実証実験が実施された。
技術が形になったとき、次なる課題は「社会実装のカタチ」でした。
特に災害時、洗濯は衛生環境を守る要です。しかし、いざという時のためだけに機材を眠らせておくのは非効率的です。そこで辿り着いたのが、「フェーズフリー(日常時も非常時も役立つ)」という考え方でした。
●平 時: 街中のコインランドリーとして稼働
●災害時:被災地へ運び、即座にランドリー拠点として活用
これを実現するために開発したのが「ジャッキ付きコンテナ」です。
クレーン車などの特殊車両がなくても、ジャッキがあればどこでも設置・移動が可能になります。
このコンテナがあれば、洗濯だけでなく、医療や居住など、あらゆる用途を「移動式」に変えることができます。
未来へ。水資源を守り、命を守る。
2013年の「洗剤を使わない」という小さな選択が、下水道のいらないコインランドリーを生み、今、災害大国・日本を守るための「移動式コンテナ」へと進化しました。
インフラが止まっても、水がなくても、私たちは服を清潔に保てる。
この「ジャッキ付きコンテナ」を相棒に、私たちは新しい未来のインフラを創り出していきます。
現在、ジャッキ付きコンテナは様々な用途への展開に向け、さらなる改良を続けています。引き続き見守ってくださるとうれしいです。
道の駅よしおか温泉設置の際のプレリリースは以下のリンクよりご確認ください。
